DelphiでStretchBlt APIを使った画像縮小コピー｜SetStretchBltModeで画質改善

DelphiでStretchBlt APIを使った画像縮小コピー｜SetStretchBltModeで画質改善

Delphiで画像を縮小コピーする際、TCanvasのStretchDrawメソッドでは線や点が消えることがあります。
これはCOLORONCOLORモードによる画質劣化が原因です。
本ページでは、Windows APIのStretchBlt関数とSetStretchBltModeを使ってHALFTONEモードに設定し、より滑らかな画像縮小を実現する方法をソースコード付きで解説します。
HDCの扱いやラスタオペレーションの指定方法も含め、Delphiでの画像処理を安定かつ高品質に行うための実装例です。

SetStretchBltMode APIで HALFTONE(ハーフトーン)モードに設定し、
StretchBlt APIを使用して画像をコピーすると少し綺麗に画像転送できる可能性があります。

SetStretchBltMode API関数

function SetStretchBltMode(DC: HDC; StretchMode: Integer): Integer; stdcall;

HDC

デバイスコンテキストのハンドルを指定します。
(例) Canvas.Handle

StretchMode

ストレッチモードを指定します。

BLACKONWHITE 又は STRETCH_ANDSCANS	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をAND演算して コピー先のピクセル に設定します。
COLORONCOLOR 又は STRETCH_DELETESCANS	コピー先のピクセル を コピー元のピクセル で置き換えます。
HALFTONE 又は STRETCH_HALFTONE	コピー先のピクセル を コピー元のピクセル の平均値色で置き換えます。
WHITEONBLACK 又は STRETCH_ORSCANS	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をOR演算して コピー先のピクセル に設定します。

戻り値

関数が成功した場合は設定する前のストレッチ モード、
失敗した場合は 0 を返す。

StretchBlt API関数

function StretchBlt(
  DestDC: HDC;
  XDest, YDest, DestWidth, DestHeight: Integer; 
  SrcDC: HDC;
  XSrc, YSrc, SrcWidth, SrcHeight: Integer;
  Rop: DWORD
): BOOL; stdcall;

HDC

コピー先デバイスコンテキストのハンドルを指定します

XDest

コピー先 の左上のX座標を指定します

YDest

コピー先 の左上のY座標を指定します

DestWidth

コピー先 の幅を指定します

DestHeight

コピー先 の高さを指定します

HDC

コピー元デバイスコンテキストのハンドルを指定します

XSrc

コピー元 の左上のX座標を指定します

YSrc

コピー元 の左上のY座標を指定します

SrcWidth

コピー元 の幅を指定します

SrcHeight

コピー元 の高さを指定します

Rop

ラスタオペレーションを指定します。
指定できる主な値は以下

BLACKNESS	コピー先 のピクセルを黒色に塗ります。
DSTINVERT	コピー先 のピクセルを反転します。
NOTSRCERASE	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をOR演算して 反転してコピー先のピクセル に設定します。
SRCAND	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をAND演算して コピー先のピクセル に設定します。
SRCCOPY	コピー元のピクセル を コピー先のピクセル に設定します。
SRCERASE	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をAND演算して 反転してコピー先のピクセル に設定します。
SRCINVERT	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をXOR演算して コピー先のピクセル に設定します。
SRCPAINT	コピー先のピクセル と コピー元のピクセル をOR演算して コピー先のピクセル に設定します。
WHITENESS	コピー先 のピクセルを白色に塗ります。

試してみる

画面設計とソースコードの記述

Delphi IDEを起動し、[ファイル]⇒[新規作成]⇒[Windows VCL アプリケーション -Delphi]をクリックして新規プロジェクトを作成します。
フォームに、TImage×2個 と TButton×2個 をドラッグ＆ドロップします。

以下ソースコードをコピー＆ペーストします。

TForm1.OnCreate イベントプロパティに FormCreate を設定します。
Button1.OnClick イベントプロパティに Button1Click を設定します。
Button2.OnClick イベントプロパティに Button2Click を設定します。

unit Unit1;

interface

uses
  Winapi.Windows, Winapi.Messages, System.SysUtils, System.Variants, System.Classes, Vcl.Graphics,
  Vcl.Controls, Vcl.Forms, Vcl.Dialogs, Vcl.StdCtrls, Vcl.ExtCtrls;

type
  TForm1 = class(TForm)
    Image1: TImage;
    Image2: TImage;
    Button1: TButton;
    Button2: TButton;
    procedure FormCreate(Sender: TObject);
    procedure Button1Click(Sender: TObject);
    procedure Button2Click(Sender: TObject);
  private
    { Private 宣言 }
  public
    { Public 宣言 }
  end;

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.dfm}

procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
var src,dest:TBitmap;
begin
  src:=Image1.Picture.Bitmap;
  dest:=Image2.Picture.Bitmap;
  dest.Canvas.CopyMode:=cmSrcCopy;
  dest.Canvas.StretchDraw(
    Rect(
      0, 0, dest.Width, dest.Height
    ),
    src
  );
end;

procedure TForm1.Button2Click(Sender: TObject);
var src,dest:TBitmap;
begin
  src:=Image1.Picture.Bitmap;
  dest:=Image2.Picture.Bitmap;
  SetStretchBltMode(dest.Canvas.Handle, HALFTONE);
  StretchBlt(
    dest.Canvas.Handle,
    0, 0, dest.Width, dest.Height,
    src.Canvas.Handle,
    0, 0, src.Width, src.Height,
    SRCCOPY
  );
  Image2.Invalidate;
end;

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
var c:TCanvas;
    w,h:Integer;
    x,y:Integer;
begin
  w:=200;
  h:=200;
  Image1.Width:=w;
  Image1.Height:=h;
  Image1.Picture.Bitmap.SetSize(w,h);

  Image2.Width := w div 2;
  Image2.Height:= h div 2;
  Image2.Picture.Bitmap.SetSize(w div 2,h div 2);

  c:=Image1.Picture.Bitmap.Canvas;
  c.Brush.Color:=$F8FFF8;
  c.FillRect(Rect(0,0,w,h));

  //縦方向に赤い線を引く
  c.Pen.Width:=1;
  c.Pen.Color:=clRed;
  x:=20;
  while x<w do
  begin
    c.MoveTo(x, 0);
    c.LineTo(x, h);
    inc(x,32);
  end;
  //横方向に青い線を引く
  c.Pen.Width:=2;
  c.Pen.Color:=clBlue;
  y:=20;
  while y<h do
  begin
    c.MoveTo(0, y);
    c.LineTo(w, y);
    inc(y,32);
  end;
end;

end.

実行する

実行します。
Button1をクリックすると、Image1 の画像を縦横半分のサイズに縮小して Image2 に表示しますが
StretchDrawメソッドを使っているので画像が綺麗に縮小されているように見えません。

Button2をクリックすると、Image1 の画像を縦横半分のサイズに縮小して Image2 に表示します。
SetStretchBltModeとStretchBlt を使っているのでそこそこ綺麗に縮小されています。